韓国の盲導犬認知度
ある日、私の勤務先にその盲導犬訓練所から連絡があり、韓国までの航空券の手配を依頼されました。その訓練所には韓国から研修生が来ていたのです。
航空券の手配そのものは普通に何事もなく終わったのですが、韓国にも盲導犬訓練所があるのかとかなり強く印象に残りました。ちなみにその韓国人研修生は、比較的訛りの少ないきれいな英語で話しておりまして、これも結構印象に残っていますw
日韓チャットをするようになって、ふとこのことを思い出したので韓国人に何度か盲導犬について質問してみたことがあります。ところが、韓国人は盲導犬について誰もほとんど何も知らないのです。
彼らは知らないことを聞かれると、ほぼ確実に知らないとは言いません。例えば「韓国にも盲導犬っているの?」と聞くと「当然ですね」と答えるのは良いんですが、「韓国の盲導犬って犬種は何を使ってるの?」と聞くと「珍島犬です」とか有り得ないことを言う奴がいます。
盲導犬は通常人間の成人をエスコートします(日本では原則として18歳未満の人には盲導犬は貸与されません)ので、そこそこ身体が大きくないと勤まりません。通常盲導犬に使われるラブラドルレトリーバは体高60cm前後ですが、珍島犬はせいぜい50cm前後です。
盲導犬の最大の特徴に「賢い不服従」というのがあります。もし主人が「Go(盲導犬に出す指示語は原則として英語)」という命令を下しても、盲導犬がそれを危険と判断したらその命令に従わないという特徴です。
盲導犬も生き物ですから、時に気紛れで主人の命令に従わないことも絶無ではないでしょう。この「気紛れ」と「賢い不服従」の判別は、私には体験がないのでわかりませんが、結構難しいのではないかと想像します。
盲導犬は犬ですから、どういう理由で主人の命令に従わないのかを説明することはもちろん出来ません。盲導犬が従わないのを、「賢い不服従」ではなく「気紛れ」と判断した主人が無理やり盲導犬を引きずって進もうとすれば、それが「賢い不服従」だった場合、盲導犬は身体を張って止めようとします。
その際に体高50cm程度の犬では、人間の成人を押しとどめるのはかなり無理があります。また性質的にも、悍性を善しとする珍島犬は盲導犬には適していない犬種です。
その後も何度か日韓チャットで盲導犬について質問してみたのですが、どうもはっきりした回答が返ってきた試しがありません。日本でもまだ介護犬についての理解が行き渡ってないのが現実ですから、障碍者差別に躊躇の無い韓国では、その存在すら一般には認知されていないのかもしれません。
ちなみに、「韓国の盲導犬」でググってみたら1993年に三星火災海上保険の支援で設立した三星案内犬学校というのがあり、そこで盲導犬の育成訓練を行っているそうです。韓国では「盲導犬」ではなく「案内犬」というのが一般的だそうですので、もしかしたら「盲導犬」って言ったから通じなかったのでしょうか?