「水戸黄門」と「大長今」と「あなたを忘れない」
- 2007.
- 01.
- 27
- (Sat)
- 21:55
まあそれはさておき、最近巷では「あなたを忘れない」とかいう映画が話題のようです。
この「あなたを忘れない」という映画ですが、韓国ドラマの「大長今」と共通する点があることに筆者は気づきました。もっとも筆者はどちらもきちんと見たことがあるわけではないのですが、おおまかなあらすじは聞くともなく聞き及んでいます。本当は別に聞きたいとも思わないのですが、何故か尋ねもしないのに聞かせてくださる親切な方々が周囲に結構いらっしゃるのです。これもフォースの韓国面に落ちたためでしょうか。
さて、これらふたつの娯楽作品に共通している点は、「どちらも事実を元にしてはいるが、出来上がった作品は事実と大きく異なる」という点です。わかりやすく言うと日本の定番時代劇「水戸黄門」と同じです。
「水戸光圀は実在した」これは事実です。しかし「水戸光圀がお忍びで全国を漫遊した」これは事実と異なります。ましてや行く先々で事件に巻き込まれて、悪代官を懲らしめたなんて史実は、もちろんありません。視聴者がこれを踏まえた上で楽しむ分には、この時代劇は予定調和の典型作としては、名作と言えましょう。しかし、もし製作側がこれを史実を元にした歴史ドラマのように宣伝してしまえば、この作品は駄作とも言えない何の価値も無いものに成り下がってしまいます。
事実を元にしてはいるけど、その内容は製作側が面白おかしく作り上げたフィクションだよと明確にしてこそ、視聴者は安心してその作品の世界に浸りきることが出来るのではないかと思います。
さて、大長今の方は、16世紀中頃に朝鮮王中宗に仕えたとされる女医「長今」(朝鮮語読みでチャングム)を取り上げたものです。
このドラマでは「長今」が中宗の主治医にまでのぼりつめたという点を、まるで事実であったかのように宣伝しておりますが、公的記録としてはそのような記録は存在しません。ドラマ「大長今」において事実と推定される点は、「長今」という女性が宮中で王の看病に携わっていたらしいというわずか一点です。
そのわずか一点を膨らませに膨らませて、あれほどまでのドラマにした点は評価出来ると思うのですが、それをまるで事実であったかのように宣伝してしまったのでは台無しです。もしかすると朝鮮流の価値観では、それでも良いのかもしれませんが、少なくとも日本的価値観では値打ちが下がります。
これと同じなのが映画「あなたを忘れない」です。この話、私としては正直聞きたくも見たくもない話なのですが、こういうブログを書いていればきっと興味があるだろうと思ってか、皆様ご親切にお知らせくださったりするので、否応もなく耳目に潜り込んできます。
何故この話を聞きたくも見たくもないかと言いますと、これは亡くなった本人方の本意を完全に無視して、周りが美談に無理やり仕立てているからです。のみならず、更にその美談を、誰かが何か別の目論見に使おうとしていることが、耐え難い腐臭を放っているからです。
そして、「水戸黄門」や「大長今」と違って、映画「あなたを忘れない」は何を訴えたいのか、私にはよく分かりません。もし誰かが線路に落ちたら、我が身の危険を顧みずあなたも線路に飛び降りて救助しろというメッセージなのでしょうか。そう言えば昨年も似たようなニュースがありました。
昨今の日本において、韓国人を必要以上に持ち上げることにも、日本人を必要以上に貶めることにも、最早慣れ果ててはおりますが、それでも無理やり歪んだレンズ越しに風景を眺めさせられるような心持ちにさせられるのは、正直うんざりです。
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