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ブックレビュー「日韓つっぱり力」

先日、「日韓つっぱり力」という本を買いまして、これが予想外に面白うございました。もっとも、私が面白く思った点は、おそらく著者の意図とは見当違いの方向性だったのではないかと思いますが。

前書き1行目から「私は韓国が大好きです。」という親韓宣言で始まるこの本は、著者 渡部昌平氏の韓国駐在3年2カ月の体験に基づいて、日韓の問題点、韓国人との対話方法、相互理解の模索などについて書かれております。

著者は親韓でありながら、日韓の問題点を熟知しています。この「日韓の問題点を熟知している」という点で、著者の渡部氏は、韓国のことだけでなく日本のこともろくに知らずに日韓友好を唱える無知な親韓日本人とは大きく異なります。

さらに著者渡部氏の日韓問題に関する主張や理解の多くは、私の主張や理解とも概ね同調します。にもかかわらず、渡部氏は親韓で私は嫌韓という真逆の反応を面白く感じました。

渡部氏と私とでは何が異なるかと言えば、それはきっと韓国人に対する期待度だと思います。

渡部氏は、韓国人と分かり合うことが出来ると信じています。今日只今、この場ですぐには分かり合えずとも、事実を列挙し、相手の理解力に合わせて言葉を尽くし、誠意を持って接すれば、明日か、明日がだめでも明後日か、明後日がだめでもいつかきっと将来には分かり合える日が来るという期待を、氏は韓国人に対して持っています。

韓国人に対してこういう期待を抱く気持ちは、大変よくわかります。私だって最初から韓国人に絶望していたわけではありませんし、いまだに一縷の望みを捨て切れないのが正直なところです。

しかし現実問題として、日韓間の諸問題は昨日今日始まったものではなく、そしていまだに何ひとつ解消されておりません。

日韓の国交正常化が成立して40年余が過ぎます。氏が夢想する「日韓の相互理解」が対話によって本当に実現可能なのであれば、日韓の民間レベルでの自由な対話や交流が可能になったこの40年余で、何十回となく日韓相互理解が実現しているでしょう。

そもそも、「日韓間の問題」とは、実は日韓併合でも慰安婦でも竹島でも日本海の呼称でも靖国参拝でもありません。韓国人の日本に対する劣等感があらゆる問題の根源です。

これを日本人がいくら言葉と誠意を尽くして払拭してやろうと努力しても無駄です。やればやるほど、かえって彼らの劣等感を刺激し増殖させるだけでしょう。

いや、この本の通りにすれば私の韓国人友達は理解してくれたということもあるかもしれません。おそらくは誰よりも、著者の渡部氏がそう主張されるのではないかと思います。

ではその「理解してくれた」韓国人友達は、その理解を他の韓国人に広めてくれるでしょうか。その理解してくれた韓国人友達が、韓国世論の一部を形成することが有り得るでしょうか。

私は「絶対に有り得ない」と断言できます。

だからこの本に則って韓国人の説得を試みても相互理解を模索しても、行き着く先にあるのは間違いなく出発点と同じ泥沼です。

ただ、この本は日韓問題の基礎知識を実に平易に説明しており、日韓問題の初学者には手頃な入門書だと思います。そういう意味で、私はこの本を高く評価しております。

なお、この本は単品で読んでもそれなりに楽しめますが、これより1年早く上梓された「つきあいきれない韓国人」という本とあわせて読むと、一層興味深いと思います。



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