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幻の国 -未来の昔話-

昔、世界の東の果ての海上に、とある国がありました。

四方を海に守られ、緑滴る美しい山々を抱き、幾つもの連なる島々によって構成されたその国は、日の出ずる方角へ向かって舞い上がる龍の形をしていたと言われています。

その国には、温厚で疑うことを知らず、信じられぬと嘆くぐらいなら、他人を信じて傷つく方が良いと本気で思っている人々が少なくありませんでした。

また几帳面で堅実で凝り性な人も多く、そのためその国独自の文化や高度な技術が発達し、広く普及しておりました。

几帳面で堅実な人々ですから貯蓄が好きであまり無駄遣いもせず、凝り性ですから仕事も丁寧です。そのため、さほどに大きな国でもないのに、気がつけば世界で2番目の経済大国だったこともあったそうです。

しかし、その国の隣にある国の人々は、その国の人々が温厚で疑うことを知らないということを良いことに、様々な嘘やでたらめを駆使してその国に潜り込み、少しずつその国を蚕食していきました。

やがてその国では、被害者意識ばかりが強く、差別と言って泣き叫ぶことで無理を通そうとしたり、権利は主張しても義務を果たすことを知らず、自由は求めるが責任は負わず、目先の損得に常に左右される隣国の人々のやり方に合わせる人々が、どんどん増えていきました。

貯蓄するより借金をしてでも奢侈を貪り、堅実に働くよりも一攫千金を狙う人々ばかりになり、その国の人々がそれまで長い年月をかけて積み上げ、几帳面に維持していた様々なシステムは軒並み崩壊し、100のものは120にして仕上げないと気が済まなかったはずの人々が80で完璧と思うようになりました。

その結果、国土は荒れ果て、経済は落ち込み、人々は互いに不信を募らせるようになりました。

そこへつけ込んだ他国に、その国を構成するいくつかの島を奪われ、その国の利権を食い散らかされ、とうとうその国はその国ではなくなってしまいました。

今では、その国が、その国だった頃を知っているわずかな人々が、その国の思い出を昔話として語り継ぐばかりですが、その国だった国の人々は、誰もこの国がそんな夢のような国だったことを信じてくれません。

その国の思い出を語るわずかな人々も、聞く者が誰も信じようとしないので、もしかしたらあの国は幻だったのかもしれないと思うようになってきたこの頃です。



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