韓国と比べても
私の発言に必死で迎合して、「韓国人の一般的な意見として、韓国は南北統一に反対です」と言ってみたり(これは嘘の2回ひねりが入ってるので、ある意味事実なのですがw)、韓国では日本人に犯罪を行なっても大丈夫で、それは韓国の文化だからしかたないが、韓国の文化は清くて良い文化だから是非遊びに来いと言ったりと、おそらくは私を懐柔するためなのでしょうけれど、釣り針が大き過ぎて飲むふりさえ出来ませんでした。
そんなこんなでここ2日ほど日韓チャットはサボっておりますが、その分ニュースサイトをめぐりながら朝鮮半島情勢関連をウォッチしておりました。
28日に突然中国が「本日午後4時30分に重大な発表を行なう」と思わせぶりなことを言い出し、それを受けてネット雀がおそらくそれは北朝鮮に関連した話だろうけれど、発表までに数時間も待たせるほどだから、きっと本当に重大なことなのだろう、もしかすると北朝鮮を全面的にバックアップしての、朝鮮戦争再開容認宣言か、いやこの機に乗じて尖閣出兵だ、待て慌てるなこれは孔明の罠だ等々、発表までの間にあらゆる推測が飛び交いましたが、フタを開けてみればただの「6カ国会議再開しませんか?」という提案だったという、何とも人をバカにした話でした。
まず韓国は即座にこれを拒否。次いで日米も否定的な反応をしました。まあ、これは当然でしょう。このタイミングで6カ国会議を開いても、実りある話し合いになるはずがありません。
この「重大発表」に、中国のどんな思惑が込められているのかという分析と解説は中国通な方にお任せするとして、延坪砲撃以後一連の韓国側の反応を見て思ったことなどを。
まず一番最初に思ったのは、李明博は今このタイミングで韓国が持ち得る最良の大統領ではないかということです。
李明博は、2007年12月の大統領選挙で、次点にほぼダブルスコアの大差をつけて圧勝。にも関わらず就任直後から、燭火デモに悩まされることになります。これは名目上は狂牛病問題に関連する米国産牛肉の輸入再開反対のデモとされておりますが、実際は2代10年続いた親北朝鮮政策が、李明博によって改められることに対抗するデモでもあったことは明白です。
燭火デモによって、大統領という、韓国における絶対権力者への直接的影響力行使が可能ということを知った韓国人は、何とかの一つ覚えを続け、燭火デモは1年以上も続きます。最初のうちはこれを政治とはあまり関係のない【祭り】として楽しんでいた参加者も多かったようですが、1年以上も続けば【祭り】も日常になります。【祭り】は、非日常であるからこそ日常を中断して非現実的な狂騒に浸ることも出来ますが、これが日常になれば、テンションも持続しませんし、本当の日常に弊害が発生し、自滅的に規模が縮小して行きました。
その後もリーマンショックや龍山惨事(ソウルの龍山地区での再開発のためにビルからの退去を求められていた人々が、これに反抗してビルにたてこもり、鎮圧に向かう警官隊に火炎瓶などで応戦。その結果火災が発生し、警官1名を含む死者6名が出た事件。これもその実は、再開発とは直接関係のない反李明博の活動家が関与していたという)等、国内外の様々な困難に遭遇しながらも、反日カードをほとんど切ることなく、韓国人にしては焦らず着実に実績を積み上げていると言えるのではないかと思います。控えめに評価するとしても、前と今の日本の首相よりは、一国の首長として有能と言っても良いでしょう(日本が酷過ぎると言うべきかもしれませんがw)。
しかし、「韓国が有能な指導者を得ること」は北朝鮮から見れば非常に面白くないことだと思います。折角2代10年かけた対南赤化工作が、李明博によって、少しずつではありますが着実に潰され、排除されているのです。
更に先月、韓国で開催されたG20も北朝鮮にとっては極めて苦々しいことだったでしょう。日韓チャットでそう言うと、「たかがG20、しかも加盟国が持ち回りでやるもので、今回韓国で開催されたのは単にその順番が回ってきただけ。その上大した内容でもなかったのに?」と言う日本人会員もおりましたが、韓国人にとってG20の開催は「韓国が世界の中心になった」ぐらいの受け取り方だったのです。それほどまでに韓国人が嬉しく誇らしく思うことですから、それを見た北朝鮮人が何とも思わぬわけがありません。朝鮮には「自分が食えない飯なら、灰でも入れてやる」ということわざがあるのです。
そこへもってきて、金正日の寿命が尽きかけているという問題もあります。金正日の寿命が尽きる前に、北朝鮮人民が納得する、あるいは納得させることが出来る手腕を持つ三代目を確立しないと、北朝鮮の命運に関わります。
ここで次に思ったのが、韓国内の親北朝鮮派です。韓国では「進歩派」とか言うらしいですが、名称は何であれ、とにかく北朝鮮は無条件で良いに決まっており、悪いのはみんな韓国、という、日韓関係の認識を南北朝鮮にスライドさせたような連中が、韓国内には少なくないようです。
その代表的言論がハンギョレ新聞です。若い韓国人に聞くと異口同音に、「朝鮮日報、中央日報、東亜日報(韓国の三大言論紙)は信用出来ない。信用出来る言論はハンギョレ」と言うので目を通すようにしているのですが、どう見ても北朝鮮の広報誌です本当にありがとうございました、な内容ばかりが目につきます。
今回も、延坪島砲撃直後には一応北朝鮮を非難するような意見を載せていたハンギョレですが、喉元過ぎるとたちまち旧に復しております。ことに先日の対国民大統領談話についての社説は、実に韓国人らしい欺瞞を駆使したもので、失笑を禁じ得ませんでした。
李明博は対国民談話で、「過去20余年の間、我々は対話と協力を通じて、北の核問題解決のために努力してきたし、人道的支援も惜しまなかった。しかし我々に帰ってきたものは、核開発と天安艦撃沈に続いて、延坪島砲撃だった」と述べたそうです。
これに対してハンギョレは「あたかも前任政府の対北朝鮮和解協力政策が今日北朝鮮の挑発を招いた原因のように曖昧に言葉を濁すが、李明博政府スタート以後、人道的支援を含んだ主要対北朝鮮和解協力措置らが中断されてすでに三年が経つ。 李大統領の言及は現政権がした仕事をごっそり取り除いて、前任政府らに責任を転嫁しようとするという点で卑怯で不正直だ」と断じます。
まあ、この辺はそれぞれの思想に基づく見解の相違と言っても良いかなと思って読み進めていた私は、次の段で吹きました。
「実際、和解協力政策が繰り広げられた時期には、北朝鮮は今のように武力挑発を行わなかった。端的な例として盧武鉉政府の5年間、西海北方境界線(NLL)を巡り発生した交戦や死傷者はなかった。」
これは確かに事実ではあります。しかし盧武鉉が大統領になるまさにその直前、日韓共催ワールドカップで韓国が浮かれに浮かれ切ってきた時に、韓国側に6名もの死者が出た西海交戦がありました。となれば、ハンギョレは盧武鉉の前の大統領である金大中が提唱し、実行していた北朝鮮に対する太陽政策に瑕疵があったと言わねばならないはずです。しかしそんなことはおくびにも出さず、まるで北朝鮮懐柔政策(実際には北朝鮮迎合政策)が正しかったと印象づけようとする記述こそが、「卑怯で不正直」ではないでしょうか。
北朝鮮による武力攻撃が現実として始まっている韓国で、こういう身中の虫とも言うべき連中を抱えながらの国家運営を、曲がりなりにもこなせる人材が大統領に就いているのは、韓国にとっては相当な幸運ではないかと思います。
翻って日本はというと、中国による現実的な武力攻撃がいつ始まってもおかしくないのにアレかと激しくトホホな気分になり、その上「あの韓国と比べても」という事実に、更に落ち込む今日この頃なのでした。