お笑い文化日韓比較
日韓チャットや、ネットで見られる動画などで見る限り、韓国人のギャグのセンスは最低です。ただし、彼らが大真面目なときは、下手なお笑い芸人よりも面白いということはあります。お笑い芸とは、「笑われる」のではなく、「笑わせる」ことだとすれば、彼らのは決して芸とは言えないでしょうけれど。
日本のお笑い文化は、歴史も幅も広く深いのですが、更にその浸透度は、世界でも突出しているのではないでしょうか。
狂言の「附子」は中学校の授業で習った記憶がありますし、「狂言回し」や「狂言強盗」などと言った言葉も、ごく普通に用いられます。落語を生で聞いたことがないという人は居るでしょうけれど、「まんじゅうこわい」と言えばそれが何のことかわからない日本人を探す方が難しいでしょう。ボケとツッコミという言葉も、元は漫才師の符牒であったでしょうに、すっかり市民権を得ました。
ほとんどの日本人がほとんど意識しないままに日本のお笑い文化を吸収しており、それを前提としたお笑いが展開されるというように、日本は発信者だけではなく受信者の方の「お笑い文化」のレベルもかなり高いと思います。
「笑い」は、単純なようでいて、意外に複雑です。先述の記事に「笑いに国境なし」などと書いてありましたが、確かに、どこの国の人間であっても、脇をくすぐれば笑い転げるでしょう。赤ん坊をあやすのが上手い人は、世界中どこの国の赤ん坊でも、大概なんとか笑わせることが出来るのではないかと思います。サーカスの道化師は、どこの国の観客でも笑わせてみせるでしょう。
これらの「笑い」は、基本的に言葉を用いませんし、文化にも左右されません。
脇をくすぐられて笑うのは単なる反射ですし、赤ん坊をあやすのが上手い人やサーカスの道化師は、本能的(原始的と言っても良い)な「おかしさ」に訴えるのが上手なのでしょう。だからこそ、これらの「笑い」には「国境」も、おそらく「人種」も「民族」も無関係です。
ですから、これらの「笑い」をもって「笑いに国境なし」と言うのは、的を射ていると言えます。しかし、言葉と文化を用いたジョークやギャグやコメディには、かなりはっきりとした国境があります。
日本人にとってアメリカンジョークは何が面白いのか全然わからないことが多いし、イギリス人のジョークは辛口過ぎて引くことがあります。フランス人のジョークはエスプリを効かせようとし過ぎてて嫌味に聞こえますし、ユダヤ人のジョークは宗教がらみのものが多くてお手上げです。
おそらく日本側の「お笑い文化」も、外国人から見れば理解不能なものや、理解困難なものがあるでしょう。言語や文化が異なれば、言語や文化を用いたジョークやギャグやコメディが違ってくるのは、当たり前と言えば当たり前のことです。
さて日本と韓国。言うまでもなく、言語は大きく異なります。もちろん、文化も全く違います。故に言語や文化をバックにした「笑い」には、当然に「国境」があるはずです。
今回、日韓のお笑いについて書こうと思って、日韓チャットの過去ログを読み返したり、韓国の笑い話を検索したりしてみました。
日韓チャットでの体験から言えば、彼らのジョークやギャグは、日本人であれば愛想笑いや曖昧笑いや苦笑いは出来ても、ゲラゲラ笑うことはなかなか出来ません。また、彼らには「お笑い文化」というものもほとんど存在しませんので、そういうものに基づいた「笑わせるための技術」というものも存在しません。彼らにとって「笑い」とは、ほとんど「他人を見下し、馬鹿にすること」か、「下ネタ」です。
彼らの下ネタギャグの具体例としては、こちらのログが典型例でしょうか。
もちろん、日本の「お笑い」にもそういうジャンルはあります。ありますが、「相手を笑わせるために使う場合」は、かなり高度なテクニックを求められます。なぜなら、この手のジョークやギャグは、どれもみだりに使えば、笑いよりも先に嫌悪感を催すからです。
使う場所、相手、状況を的確に判断した上で、嫌悪感を催す一歩手前の絶妙な表現を用いて繰り出せば大爆笑を得られるかもしれませんが、韓国人の場合、聞いてる相手よりも自分が面白いと思うことを最優先するので、そんな微妙なさじ加減は望めません。何しろ彼らは、下手をすれば相手が聞いてるかどうかも確認しないままオチを言い、相手よりも先にゲタゲタ笑い出すのです。
何より、彼らのギャグにおける下ネタ好きは筋金入りです。その好きさ加減は、幼児に等しいものがあります。即ち、幼児が意味もなく排泄物や性器の名称を連呼しては、ゲラゲラ笑い転げるあれと全く同じなのです。チャットが出来る年齢の日本人であれば、それで笑い転げるには大人過ぎます。
日韓チャット以外でもいくつか検索してみましたが、やはりどれも概ね下ネタか、そうでなければ他人を見下し、馬鹿にするタイプのものでした。
しかしそんな彼らにも、日韓チャットで日本人が話すジョークは、案外よくウケます。その理由はいろいろ考えられますが、やはり日本人の「お笑い文化」が、韓国と比べるとかなり高いからということは大いにあるでしょう。
文化は、水の流れと同じで、高いところから低いところへ流れると言います。つまり先述の記事は、「お笑い」のレベルが高い日本では思うように売れないお笑い芸人が、「お笑い」のレベルの低い韓国に活路を見出そうとしたと理解するのが一番かもしれません。
ただその「お笑い芸人」が、「お笑い文化」やその下地のほとんどないと言って良い韓国で、「お笑い芸人」に活路があると本気で思っているとすれば、そのことそのものがもはや「お笑い」なんじゃないかなとは思います。