日韓スワップ協定拡大の報に思う
特に野田首相に限ったことではないのですが、日本人の中には頑迷に「日韓は運命共同体」とか、「日韓は共存共栄を目指すべき」などと信じている人が意外に多いようです。
何故そこまで韓国との関係を維持・強化したがるのか、そうすることで日本側にどのようなメリットがあるのかの具体的な説明は、今のところ見たことがありません。
弊ブログでは、随分前から「日韓断交した場合の日本側のデメリットについて教えてください」とお願いしているのですが、これも未だ明確な説明はありません。
ただ情緒的に「日韓は隣国同士なのだから」とか、「日韓は歴史的に関係が深いから」などと言うか、さもなくば多少それらしい答えとしては、「日本がどれだけ韓国に儲けさせてもらってると思ってるんだ」などというぐらいでしょうか。
まず情緒的な意見は、考察に値しません。個人的な情緒を国家間の関係に持ち込まれるのは迷惑です。
次に日韓貿易黒字についてですが、確かに日本は韓国相手にかなり儲けてはおります。が、それがないとたちまち国が傾くというほどではありません。しかも日本から韓国に流出した技術やコンテンツによる損失は、一切勘定に入っておりません。韓国がその技術やコンテンツを用いることによって、日本が奪われた市場がどれだけあるかも、当然勘定に入っておりません。損失や経費を一切勘定に入れず、獲得出来た利益ばかりを数えるならば、競馬やパチンコでも蔵を建てることが出来ます。
というようなことは、これまでにも何度か述べてきましたので、これ以上は申し上げません。日韓関係における日本側のメリットの解説や、日韓断交推進論に対する反論は今も鋭意受付中ですので、我こそはと思われる方は是非ともご高説をお願いしたいと思います。
もっとも、今までの例から言って【ご高説】を垂れる方が訪れる期待はほとんど持てません。しかし、「日韓関係における日本側のメリット」がある(と信じている)からこそ、現実的に日本政府がここまで韓国を慮るような態度に出るわけです。
まさか日本政府が、日本の国益を一切顧みず、韓国の国益だけを慮って日韓関係を維持・強化しているということはないでしょう。いくら民主党政権でも、そんなにわかりやすい売国をすれば、言い逃れのしようがありませんし、韓国に対する宥和政策は、別に民主党政権になってから俄に始まったことではありません。
歴史を振り返れば、日本はほぼいつの時代も、朝鮮半島に対して宥和的な政策を取り続けてきました。その最たる理由は、やはり朝鮮半島が隣国だからでしょう。
海を越えることが困難であった時代に、日本から太平洋を越えて他国と交流するということはほぼ考えられませんでした。ですので、日本海は隣国に対する障壁であると同時に、最大の流通ルートでもありました。
その日本海を渡って、直接大陸へ行くルートも存在しましたが、朝鮮半島は対馬を経由すれば距離的にかなり近いということもあり、かなり重要で安定的なルートとして認識・活用されていたことも確かです。
その時代の日本人の意識においては、朝鮮半島はいわば大陸への玄関口であり、そこの住民を懐柔しておくことは、大陸へのルートを確保することでもあったのでしょう。
更に戦後、南北に分断された朝鮮半島において韓国が防共の砦とされたことも、たとえ日本が多少の経費を負担してでも、韓国を維持しなければならないという意識の根拠になりました。これは何も日本だけの意識ではなく、アメリカも同じだったでしょうし、共産主義陣営では北朝鮮に対する中ソの意識も全く同様でした。
思うに、今も日韓を運命共同体と言いたい日本人とは、こういう時代遅れの意識をいまだに濃厚に持っている人々ではないでしょうか。だからこそ、日韓関係の維持・強化が、問答無用で当然の前提となっているのではないかと思います。
しかし既に日本海は隣国に対する障壁たり得ず、同時に重要なルートでもなくなりました。防共的な意味では、韓国は既にかなり赤化されており、日本がこのまま関係を維持することは防共とは逆の効果を生みかねません。
そのことに気づいてないか、あえて気づかぬふりをしているか、気づいてても今まで通りのやり方を変えると、その責任を負わなければならなくなるので、黙って今まで通りのやり方でやってる方が無難だと信じている人々が、日韓関係を維持・強化せよと主張しているのではないかと思います。
もちろん、韓国人に接待漬けで籠絡されて日本の国益を蔑ろにしたり、韓国人配偶者を得たことで、日本より韓国とのシガラミの方を優先しなければ、自分の配偶者や家族や親戚に累が及ぶおそれがあったり、血統的に韓国人が混ざっていることを知って、日本よりも韓国にシンパシーを抱いているという人々も少なくなく、現実的にはそういう人々の方が日韓関係を維持するための影響力を強く持っているであろうことは、言うまでもありません。
いずれにしても日韓関係を維持・強化すべきと主張する人々は、現実を直視していないか、夢想に溺れているか、極めて近視眼的且つ視野狭窄的か、利己的且つ独善的か、さもなくば限りなく情緒的な理由で主張しているのだろうと思います。
今回の日韓スワップ協定の拡大は、そういう人々が日本の政府や経済界の中枢に、今も少なくないどころかかなり多く、しかも大きな力を持っているということが改めて露呈したということと見て良いのかもしれません。
日本が韓国に食い潰されるのが先か、それとも日本人が韓国との関係を極力断つべきと気づくのが先か、まことに、チキンレースな様相を呈してきた日韓関係であるなと、今回のスワップ協定拡大の報を見て脱力しつつ思った次第です。