小観大察
せっかく気持ちの良い時期なのに、このところの日中間の緊張が高いのは非常に不快なものがあります。
中国には、国防動員法という法律があるのをご存知の方は多いと思います。中国で有事が発生すれば、中国国内はもとより、中国国外に在住の中国人にも動員がかかります。と言うことは、日中戦争が始まれば、日本に居る中国人もこの法律に基いて動員に応じなければならなくなるわけです。
中国本土からの攻撃が私の住む大阪まで届くかどうかはあまりピンと来ませんが、大阪周辺に居る中国人が戦闘員となった場合どうなるかは、かなりリアルに想像出来ます。
実際、今現在日本に居る中国人たちは、本国の親戚や知人から「日本人に襲われていないか」と心配されることが多いようです。それは即ち、自分たちがやることは相手もやるに違いないという発想から来る心配と考えて良いでしょう。実際、中国では何件か日本人が襲われる事例が発生しています。
これで本当に日中間で戦争が始まれば、日本に居る中国人が戦闘行為を始めないという保証はまるでありません。日本に居る中国人にしてみれば、敵国のまっただ中なわけです。「日本人を殺さなければ日本人に殺される」と考えても行動を始めても不思議はありません。
ただでさえ日頃不快な韓国について考察しているのに加えて、そういうことをこの気持ちの良い季節に考えなければならないのは、まことに不快な状況です。
先日の、中国漁船1000隻が尖閣周辺に押し寄せるという中国メディアが報じた映像も、実は禁漁明けの出港風景で例年通りのものだとか。どうやら日本に対する中国流のコケオドシだったようですが、それが単なる脅しとしても人海戦術は中国のお家芸です。
仮に中国漁船1000隻が単なる脅しであったとしても、中国各地の反日暴動で中国人民が日系企業を襲い、甚大な被害を出したのは事実であり、単なる漁船団と言っても、いつ数を頼んで暴走し始めるかわかりません。そうでなくとも尖閣周辺では実際に中国の監視船が10隻以上で展開しており、日中間の緊張は予断を許さない状況です。
私は中国についてはあまり詳しくありませんが、韓国を知る過程においては中国関連の知識もある程度は必修になります。中国関連について多少なりとも学習すれば、必ず中華思想という言葉に出くわします。中華の「中」は中心の「中」であり、「華」は文明を意味します。即ち「中華」とは、自らを文明の中心と考える言葉と思って良いでしょう。
どの国の民族や文化にも、多少の自民族中心主義あるいは自文化中心主義的思想はあります。それは適量であれば自らのアイデンティティや尊厳の構築・維持に必要だからです。自民族を貶め、自文化を蔑む教育を続ければ、その国の子供たちは自らの存在を肯定出来なくなって、やがてその国は崩壊してしまうでしょう。戦後左傾教育において、徹底して日本を貶める教育を受けた私の経験を振り返っても、日本は危うくそうなりかけていたのではないかと思います。
ですから一概に、如何なる自民族中心主義や自文化中心主義思想も悪だとは思っていませんが、それを考慮に入れても中華思想における自文化中心主義思想は度を越しています。中華思想を華夷思想とも言いますが、華とは自分たち文明人のことで、夷とは自分たちから遠い非文明人=野蛮人のことです。更に自分たちから距離的文化的に遠い相手は、獣や、甚だしくは虫けら扱いさえもしました。
しかし夷(=野蛮人)であっても、中華たる自分たちの文化に従い礼を尽くせば、人間並みの扱いをしてもらえました。そのためアジア諸国はこぞって中国に礼を尽くし臣従します。これが冊封体制と呼ばれるもので、日本は、海を隔てていたこともあり、かなり早い時期に華夷秩序から離脱しましたが、陸続きであったアジア諸国は、長らく華夷秩序に従わざるを得ませんでした。
中でも朝鮮は、陸続きというだけでなく距離的に中原から比較的近いということもあり、徹底して中華に従いました。終いには自らを中華に準ずる者として、小中華と称するようになりました。
私は中国についてはほぼ素人です。しかし、朝鮮についてはいくらか詳しいという自負があります。中国についての知識が乏しくとも、小中華たる朝鮮がアレ(常連読者の方なら「アレ」でお分かりいただけると思いますが、そうでない方には一言でとても説明できませんので、ざっと過去記事をお読みになるか、それが面倒ならとりあえず雰囲気で察してくださいw)なのを知れば、そのお手本たる大中華は更にスケールがデカいアレだということを察することは出来ます。
大中華は小中華よりは多様性がある分、小中華と全く同一視するのは当然危険です。が、逆に言えば大き過ぎて全体像が見渡せない大中華を、縮小することで細部を犠牲にしながらも全体を見渡しやすくしたのが小中華であると考える事も出来るのではないでしょうか。一部を見て全体を決めつけることは確かに危険ですが、一部のサンプルから全体を大づかみに推察する手法は、学問の世界でも普通に頻繁に行われています。
また大中華がやったことは小中華もやる可能性が高いということも、失念してはならないでしょう。実際、中国と主義を同じくするという建前が生きていた頃の北朝鮮では、中国がやったことを北朝鮮でもやるということがしばしばありました。
韓国は今のところ中国とは異なる主義を標榜していますが、もとは小中華たる朝鮮です。更に北朝鮮による赤化工作が浸透しており、南北朝鮮の思想的な統一はかなり進んでいると考えた方が良いでしょう。
小中華たる北朝鮮や韓国がアレなのですから、大中華である中国はそれよりも更にスケールアップされたアレであるということを、日中の摩擦が強まる今日、韓国を知る私たちは肝に銘じる必要があることを強調すると同時に、日本に対する中国からの脅威に、小中華たる北朝鮮や、ことによっては韓国までもが、ここぞとばかりに尻馬に乗ってくる可能性にも警戒しなければならないと考えます。
特に、「北朝鮮はともかく、韓国はアメリカを介した間接的な同盟国なんだから」などという考えや期待だけは、何があっても断じて持つべきではないということを、強く強く強く念押ししておきたいと思います。