韓国人は許さないために謝罪を求める
それは「日本は謝り続けないといけないのでしょうか?」という質問に、「思想家にして武道家、相談の達人」という肩書の内田樹氏が答えるという記事でした。
その内容に対する突っ込みどころはたくさんあります。例えば、日本人は戦争に負けたから謝罪しなきゃならないのだ、という理屈そのものについても肯んじかねますが、その理屈で、日本人は韓国人に謝罪せねばならぬという流れになっているのが甚だ意味不明です。
日本は、中国を(と言うか、中国の中の人w)相手に戦争をしたことはありますが、韓国を相手に戦争をしたことは、有史上一度もありません。日本が先の大戦に負けたからと言って、戦ったこともない韓国に何故謝らねばならないのでしょうか。
日本が朝鮮を植民地支配したことが悪いと言うのであれば、日本は朝鮮を併合、即ち日本にしたのであって、植民地にしたのではありません。更に言えば、日本の朝鮮統治は、搾取や収奪ではありませんでした。故司馬遼太郎氏が幾度も「朝鮮併合は(日本にとって)ソロバンの合わぬことであった」と述べたように、日本が朝鮮を統治していた間、経済的技術的文化的投資をし続けたことは、明らかに記録に残っています。
現在の韓国人に極めて近い先祖が日本からそれほど手厚い投資を受けていたという事実があるのですから、韓国は日本に感謝するどころか謝罪要求をするならば、過去に日本が朝鮮に対して行なった投資全てに相応の利息を付け日本に叩き返してから言うのが筋というものでしょう。
しかし実際には、日本が朝鮮に投じた資本はほぼ返されていません。韓国でも北朝鮮でも、日本が朝鮮半島に残した資産を敵産と呼んで全て国家が没収しました。ばかりか、日本は日韓国交正常化の際、韓国に対して有償2億ドル、無償3億ドル、民間融資3億ドルというとんでもない額の経済支援を行なっています。
その経済支援によって韓国は漢江の奇跡と呼ばれる飛躍的な経済成長を成し遂げ得たのですから、これについては韓国は日本に大いに感謝するのが当然でしょう。しかしこれも、日本に対して韓国政府が公式に感謝のコメントを出したという話は聞きません。
まあ、別に韓国に感謝などしてもらわなくても良いと言うか、個人的にはされたくないからそれは良しとしましょう。
一番の突っ込みどころは、「僕は韓国の人に会ったら、とりあえず「先祖がいろいろご迷惑をおかけして、すみません」とまず謝りますよ。それでも怒り続ける人なんて会ったことないです。みんな「まあまあ、お手を上げて。別に内田さんがやったわけじゃないんですから」と言ってくれます。「おう、責任があると思うなら、誠意示せよ、誠意」なんてヤクザみたいなこと言う人いませんよ。」という箇所でした。
私は日韓チャットで、不特定多数の韓国人からいきなり「過去の歴史について謝罪してください」と言われたことが何度もあります。それは日本人的には出会い頭のカウンターパンチでしかありませんが、韓国人の主観では「謝罪すればウリの仲間に加えてやるよ」という熱烈なプロポーズなのです。
ですから、韓国人が求めるより先に日本人の方からいきなり謝罪すれば、当然韓国人は大喜びしますし、その日本人に対してはとりあえず、それ以上の要求はないかもしれません(あくまでも、「かもしれない」であって、その後別の形で何かを要求される恐れは極めて大きいと思います)。
ですが、「ある日本人が韓国人に無条件で謝罪した」という実績は、別の日本人に向けられる刃になります。実際、私は日韓チャットで数え切れないほど向けられました。即ち、「私の知ってる日本人は謝ったのに、お前は何故謝らないのか」というやつです。
謝った日本人はそれ以上の謝罪を要求されないかもしれませんが(あくまでも、「かもしれない」であって、その後別の形で以下略w)、今度はその日本人がまだ謝っていない日本人に謝罪させるためのツールになるのです。
結局日本人に謝罪されて「まあまあ、お手を上げて。別にホニャララさんがやったわけじゃないんですから」と韓国人が言ったとしても、その韓国人が別の日本人に会えば、また謝罪を要求するのです。日本人全てが韓国人全てに総当たりで謝罪すれば良いということであれば、何とも気の遠くなるような話ではありますが、仮にそうすれば韓国人は日本を許すのでしょうか。当然そんなこともあり得ません。
当該記事では、「おう、責任があると思うなら、誠意示せよ、誠意」なんてヤクザみたいなこと言う人いません、といいますが、確かに私もそんなことを言う韓国人に遭遇したことはありません。
しかし、何かで利害が対立したり優劣を争う時、日本人が謝罪したことを彼らは必ず持ち出します。もちろん、それが謝罪した件とはまるで無関係であってもです。むしろ、関係があることの方が珍しいでしょう。
もしその時、日本人が韓国人に譲らなければ、彼らは「あの謝罪は嘘だったのか!」と激怒します。「あの謝罪と今回の件は関係ない」とでも言おうものなら、火に油です。一度彼らの前で頭を下げれば、如何なる形、如何なる理由であろうとも、二度と上げることは許されないのです。それはつまり、「永遠に謝り続けなければ、謝罪したとは認めない」ということなのです。
彼らが日本人に謝罪を求めるのは、許すためではありません。許さないためなのです。
そもそも韓国に対しては謝る理由自体が希薄なのに、更に彼らに許されないために謝るなどというのは、私には全く納得も承諾も出来ない話です。
それでも韓国人に謝りたいという日本人は、会う韓国人全てに、「私が全ての日本人になりかわって謝罪し、全ての責任を負います」と言って回れば良いでしょう。そういう日本人ならば、まさか「何で私が」などとは言いますまい。