「説明」を飛ばして「説得」しようとする韓国
コンセプトは「女は悪い男が好き」というものだそうで、要は「ちょいワル」ならぬ「激ワル」を表現したかったのだろうと思われます。しかし甘めに見ても女性を性暴行目的で拉致したところ、厳しめに見るなら強姦後殺害した女性の死体を遺棄するために運ぼうとしているところにしか見えない写真を表紙に掲載したことは、当然のように大問題になり、現在雑誌の回収騒ぎになっているようです。
どっかの韓国ウォッチブログに「(韓国は)日本よりレディーファーストが進んでる」とかいうコメントが寄せられていたような気がしますが、こういう写真が雑誌の表紙を堂々と飾れる韓国のレディーファーストをどう解釈するべきなのか、コメントされた方に改めて聞いてみたい気がします。
しかもこれ、驚くべきことに韓国刊行物倫理委員会の許可を得ていたと言いますから、この写真を表紙にした雑誌に韓国世論が猛烈な非難を浴びせているぐらいのことでは、全く免罪符にはなりません。
韓国批判をするとすぐに「それでは日本は!」という輩が日韓共に極めて多いのですが、日本と韓国では似たように思える事例であっても、実際には全く比較にならない場合が少なくありません。そもそもたとえ日本と全く同様の問題であったとしても、韓国の問題がなくなったり免責されたりするわけではないのです。
日本にも問題点がないとは言いません。しかし私たちが韓国の問題点をあげつらうのは、日本の優越性を確認するためでもなく、韓国に問題の改善を促すためでもなく、どれほど日本と韓国が色んな面で掛け離れている国なのかということを確認・周知するためです。
そういう話をしている時に日本の問題点をあげつらっても、何の意味も利点もないだけでなく、結果として「何故韓国の問題点をあげつらっていたのか」を失念したり、議論が中断されてしまって本来の「どれほど日本と韓国が色んな面で掛け離れている国なのか」ということがぼやけたりわからなくなってしまいます。
もちろん、彼らの目的はそこです。そういう彼らの思う壺に嵌められないようにするのも、私たちが韓国に接する際には、固く肝に銘じなければならないと思います。
さて本日も韓国三大紙のひとつ、中央日報からお題を頂戴してきました。ソウル大政治外交学部教授が中央日報に寄稿した「本当に統一を望むなら周辺国の説得を」と題する記事です。
詳細は各自で元記事を読んでいただくとして、この記事の筆者は「偏狭な民族主義から抜け出し、南北間の関係改善、さらに統一が韓半島の平和と和合だけでなく東アジアの平和と安定にどれほど重要なことか周辺国を説得できなければいけない」と主張します。
ここまで読んだ時私は、続けて朝鮮半島の統一が東アジアの平和と安定にどれほど重要なことなのか、周辺国にどういうメリットがあるのかを具体的に説明するのかと期待したのですが、そういう説明は一切ありませんでした。
韓国人は、何かと言えばすぐドイツを引き合いに出したがる傾向があり、この記事もご多分に漏れません。しかしドイツの統一は、欧州全域にとって魅力的なメリットがあったかもしれませんが(欧州方面の事情にはあまり詳しくないので、この辺の事実関係については、実はあまりよくわかりません)、朝鮮半島が統一することで、周辺諸国のひとつである日本に、どれほど魅力的なメリットがあるでしょうか。
朝鮮半島統一にメリットが皆無とまでは言いません。以前から何度も申し上げている通り、反日の窓口が一本化されることは、日本にとってはある意味メリットと言い得るからです。
しかしそれは日本だけの、且つ極めて消極的なメリットです。それだけのために朝鮮半島を統一する対価の一部を負担しても良いとか、統一に伴う混乱に巻き込まれても良いと思えるほどのメリットではありません。かつてのお人好し日本ならあるいはそれで「説得」されてしまったかもしれませんが、少なくとも安倍政権の間は、日本が韓国のそんな「説得」に屈することはないでしょう。
中央日報の当該記事では、朝鮮半島の統一が東アジアの平和と安定に重要であると主張しておりますが、前述したとおりその理由も根拠も示されませんでした。おそらくそれは、韓国人にとっては説明の必要もない自明の理なのでしょうけれど、以前も申し上げたとおり日本人の考える「理」と韓国人の考える「理」は同一ではありません。
韓国人が朝鮮半島の統一を本当に望み、且つそれには周辺国の理解と協力が必要だと考えるのであれば、彼らがまずすべきは周辺諸国に対する「説得」ではなく「説明」のはずです。「説明」をすっ飛ばして「説得」するのでは、理解も協力も得られるはずがありません。
そのことにソウル大学の教授ですら気づかないのですから、彼ら自身による朝鮮半島の統一など今世紀中は難しかろうなあと改めて確認した次第です。