万人が納得するような決定など無い
私が記事中で「「従軍慰安婦問題」そのものが虚偽と欺瞞と情実のビビンバ」と書いたところ、「ビビンバは無い」と断言されておられました。するとこの方の認識では「従軍慰安婦問題」は無い、ということになります。
しかし「従軍慰安婦問題」は厳然と存在します。ご自身でも「ビビンバは無い」と銘打ったコメントで「無かった→しかしあったあったと騒ぐ人がいるのは紛れない事実!→ここはあったなかったでなく、ひとまずあったという前提で頭下げて金も払う→これで解決( ̄▽ ̄) こんな感じ?やれやれ何が「解決」だか 」などと仰っておられますが、この「あったあったと騒ぐ人がいる」という部分こそがまさに「従軍慰安婦問題」なのです。
「従軍慰安婦の存在」と「従軍慰安婦問題の存在」をマジェマジェにした認識でどれほど熱弁されようと、最初の第一歩が間違っている主張に耳を貸すほど私はヒマでも寛容でもありません。
なお「慰安婦」の存在については、弊ブログの過去記事でも述べたことがありますが、私は肯定しております。また旧日本軍が慰安婦を利用したであろうことも、全く否定しておりません。しかし「従軍慰安婦」の存在については、極めて懐疑的です。
今回の日韓合意については、「日本が韓国の主張を認めて謝罪した」という点に強い反発を感じている方が多いように思われます。そのお気持ちは、よくわかります。私にしても、今回の合意が一点非の打ち所のない完璧なものだったとは思っておりません。
しかし今回の合意によって今後韓国が何を言おうと、あるいはたとえ合意を反故にしようと、一度は「最終的且つ不可逆的に解決した」ことに合意した事実はなくなりません。今回は、この点が最も重要だと私は考えているのです。
昨日も月見チャットで従軍慰安婦問題に関する日韓合意に批判的な方のご意見を拝聴しておりました。曰く、「今回の合意によって、日本は韓国人女性を性奴隷にしていたと世界に認識されるのではないか」というご懸念です。
ですが百万歩譲って、世界がそう認識したとしても日韓両国は「最終的且つ不可逆的に解決した」ことに合意したのですから、少なくとも地球上にある世界の国がそれについてとやかく言う資格はありません。
ですが今回の日韓合意に批判的な方は、「たとえそうでも、歴史に「日本は韓国人女性を性奴隷にした」と記録されるのは嫌だ」とおっしゃいます。たとえ歴史にそのように記録されたとしても、日韓両国が「最終的且つ不可逆的に解決した」ことに合意した、ということも記録されるから問題ないと言っても、「日韓両国が最終的且つ不可逆的に解決したことに合意したとしても、日本が韓国人女性を性奴隷にしていたと歴史に記録されるのは嫌だ」と繰り返すのです。
しかしこれは「不可逆」という言葉の意味を失念されておられます。「不可逆」というのは「逆さまにするべからず」と読み下すことが出来るように、「解決した」という結論から逆戻りすることは出来ないという意味です。仮に韓国の主張を一切否定せず、全て丸呑みにして認めたとしても(もちろん事実は異なります。今回の合意において日本は韓国の主張を一切否定せず丸呑みにしたわけではありません)、それらが全て最終的且つ不可逆的に解決し、韓国がそれに合意した以上、解決前の状態に戻して再び議論することは出来ないのです。
今回の日韓合意に反発して一所懸命踊ってる方が主張する「私は韓国黙らせるのが解決でなく、韓国がいくら大声だそうと日本は否定して、宣伝戦に国際社会で勝利するのが望ましいと思うのです。そのためにまず韓国の主張は否定すること、彼らは首相の謝罪や金銭で一時的に大人しくなったように見えても、味をしめたので別のネタか同じ慰安婦ネタで謝罪と金銭引き出しに来る。その時「安倍は罪認めて謝った、見習え」も喚くなきっと(汗)これからの宣伝戦のためにも謝罪は無用、相手に根負けせず、千年因縁つけてきたら千年否定、韓国のは虚言と世界に宣伝し常識化していく。謝れば、カネ払えばいいとかやってるうちに韓国の嘘が世界に(泣)同じ轍は踏まない、韓国と無駄な交渉しない、世界で情報戦を戦っていくのがイイ…と思うのですが(´・_・`)」などという方法は、非現実的にも程があります。
特に「千年因縁つけてきたら千年否定」などというのは最早「韓国の因縁を受け入れること」と同義です。千年も韓国と悶着を続ければそれが常態となるのは、たった70年の悶着で南北朝鮮の分断が常態となっていることを見れば、火を見るより明らかです。そうなれば情報戦もへったくれもありません。そもそも過去から現在に至るまで日本が情報戦に弱いという事実はどうするのでしょうか。
しかも世界は日本と韓国だけで構成されているわけではありません。韓国よりも優先順位の高い国や問題はいくらでもありますし、韓国に足を引っ張られていては、対応が難しくなる問題も山積しています。
一国の総理ともなれば、全方面の対応を迫られるわけです。普段の生活の片手間に韓国ウォッチをして三日に一度記事を書く呑気なアマチュアブロガーと一緒には出来ません。今年は新年早々、中東情勢は予断を許さないレベルで険悪ですし、北朝鮮が核実験を行なうという尋常ならざる状況です。また今年は伊勢志摩サミットも控えております。国際社会における日本の立場や役割は、日本人が思う以上に重要になってきているのです。
今回の日韓合意が、安倍総理にとって「片付けられる問題はとっとと片付けておきたい」ということだったとしても、即ち拙速を承知の上での決断だったとしても、現在の日本を取り巻く国際情勢を鑑みれば万止むを得ないのではないかと言えば、また「安倍信者プゲラッチョ」と揶揄されるのでしょうか。
いずれにせよ、既に合意は成立しており、ステップは合意の履行あるいは破棄へと進んでおります。前々回の記事にも書いた通り、これで本当に全て解決すると考えるのは甘過ぎるでしょう。日本は今後韓国がどのような挙に出るか、予想と対策を練らなければなりません。
そういう時に、既に成立した合意にいつまでも四の五の四の五のこだわって、次なるステップに対する予想と対策を妨害することが日本の国益に適うのでしょうか。
不本意な決定にも黙って従えと言うつもりは毛頭ありませんが、何であれ万人が納得するような決定というのはありません。個人の不満は不満として持つにしても、個人的な不満にとらわれて現実を見失うことがないようにと、強く思う次第です。