日韓断交をただ叫ぶのではなく
私も韓国との断交に反対するものではありません。むしろ日韓の発展的関係解消に向けた一ステップとして必須だとさえ思います。ただ、今回の一連の議論において韓国との断交を叫ぶ方の主張には、賛同しかねるご意見が少なくないのも事実です。
以前にも申し上げていることではありますが、日韓断交というのは、実現すれば全てオシマイ、メデタシメデタシ、というものではありません。何よりもまず、実現に至るまでの準備が当然に必要です。
断交が実現する理由としては、単発のものでも可能です。例えば、今回の合意を韓国が一方的に破棄したとかでも、断交の理由にすることは出来ます。しかし輿論がそれに理解を示すかどうかは甚だ疑問です。この場合の輿論とは、日本国内は当然ですが、国際輿論もあります。日韓両国と同盟を結んでいるアメリカなどは、日韓が断交することに強い難色を示すことは確実です。
一般的に断交とは、戦争の一歩手前です。戦争に至っても不思議ではないぐらいの理由がなければ、普通は断交などするものではありません。
日本と韓国の間には、実は戦争に至っても不思議はないという理由は、少なくとも日本側には結構有りますw じゃあ、日本が断交断交言っても不思議はないじゃんと思われる方がいらっしゃるでしょうけれど、それだけのことをされ続けてきたのに、日本はこれまで韓国に対し宣戦は言うまでもなく、断交を匂わせることさえありませんでした。
例えば、日本の嫌韓勢力を一気に増やすことに大きく貢献した天皇陛下に対する李明博前韓国大統領による侮辱発言ですが、これが例えばイギリスやタイの国王に向かっての発言であれば、直ちに公式な撤回と謝罪がなければ戦争前提の国交断絶に至っても不思議はないほどの問題発言です。
しかし日本政府は韓国に発言の撤回を求めるに留まり、謝罪を求めることも、制裁を加えることも全くありませんでした。ですから天皇陛下侮辱発言に対する日本人の反応に対して、李明博前韓国大統領のみならず韓国人は「日本人は何故こんなことであんなに怒るニカ?」とかなり本気で思っているはずです。
それは天皇陛下に対する侮辱に限りません。例えば今回の慰安婦問題に関する日韓合意についても、韓国では無効だの破棄だのと主張する連中が少なくありませんが、もし本当に合意を無効にしたり破棄した場合、日本が激怒してそれを理由に韓国との断交に踏み切るなどとは、そう主張する韓国人たちさえ微塵も思っていないでしょう。日本にどんな非礼や無法を働いても、日本は決して韓国に対して激怒することはないと、韓国人は確信しているのです。
それは日本国内も同様です。日本に対し韓国がどんな非礼や無法を働いても、日本が韓国を切り捨てることは決してないと(半ば無意識で)思っている日本人は、嫌韓の私たちが思う以上に多いと思われます。嘘だと思うなら、周囲の日本人(と確信出来る人w)に聞いてみると良いでしょう。「日韓は断交するべきと思う?」と。かなりの確率で否定的な反応が返ってくるはずです。
ネットで威勢良く「断交断交、さっさと断交、しばくぞっ!」と言うのは、確かに気持ち良いことでしょう。しかしそう言っていれば、そのうち自然に韓国との断交が実現するわけではありません。
断交とは、最早話し合いによる相互理解はないという意思表示です。まかり間違えば戦争に至るかもしれない重大な決断です。それでも韓国とは断交した方が良いのだという理解を、日本国民全員とまでは言いません。せめて有権者の過半数が持つぐらいにならなければ、日韓断交など夢のまた夢です。
韓国との断交を主張する方は、ネット以外でも同じやり方で韓国との断交を主張しているのでしょうか。例えば家族や友人に、「韓国とは断交だ」といきなり突きつけているのでしょうか。
おそらくそんなことはないと思います。多くはきっと、韓国との断交など周囲の人に話したこともないでしょう。そんなこと言っても、韓国のことを知らない人には何のことやらと思われるだけで済めば御の字で、サベツだと叱られたり宗教の勧誘にでも遭ったかのような態度を示されたりするだけです。
周囲の人に韓国との断交を理解してもらおうとするならば、いきなり「断交断交、さっさと断交、しばくぞっ!」ではなく、韓国がどんな国で、韓国人がどんな人々かということを、相手が嫌にならない程度を見計らって徐々に説明していこうとするのではないでしょうか、って私はそうしているのですがw
日韓断交を阻む最大の障壁は、私は日本国内にあると思っております。その障壁をそのままにして日韓断交をいくら叫んでも、決して実現されることはありません。
日韓断交を本気で考えるのであれば、日韓が断交することのメリットばかりではなくデメリットにも目を向け、その差し引きを冷静に計り、それでも日韓は断交した方が良いのだということを自信と説得力を持って他人に説明出来るようになる必要があると私は考え、それを目指してこのブログを続けているのです。
しかしそれを私一人で実現させることは出来ません。多くの日本人が、日韓断交について真摯に考え、そのメリットとデメリットを検討し、それでも日韓は断交した方が良いのだという結論を共有しなければ、日韓断交を議論の俎上に載せることさえ出来ません。
「日韓断交」をただ闇雲に叫ぶのではなく、また「いつかどこかで誰かが何とかしてくれること」と考えるのではなく、どうすれば日韓断交が実現出来るのかを各人が真剣に考え模索することで、日本国内に日韓断交のコンセンサスが形成されていくことを、私は切に期待しております。