共に悪名を免れないということ
繰り出される技は、たいていは絞め技や関節技ぐらいでしたが、時には教室の後ろにあるロッカーの上からの飛び降り蹴りなんかもありました。そういうプロレスごっこは、小学校高学年から中学生ぐらいの男子同士の間では、別に珍しいことではなかったと思います。
しかしその時のプロレスごっこでは、技を掛けられるのはいつも同じ男子生徒でした。三人でプロレスごっこをしているのに、技を掛けられるのはずっとその男子生徒一人だけだったのです。時には、一人がその男子生徒を羽交い絞めにして、もう一人がパンチやキックを浴びせるということもありました。だから、見方によってはそれはいじめに見えなくもありませんでした。
私は、強者が弱者に向ける一方的で理不尽な暴力というのが生理的に嫌いで、小・中学生の頃は生来の身の程知らずも手伝って、自分がターゲットでなくとも、また相手が上級生であっても、そういうことをする相手には食って掛かることがたまにありました。
特に腕っ節に自信があったわけでもありませんし、喧嘩が強そうに見える容姿でもありません。実際大して喧嘩の経験があるわけでもなく、もし本格的に殴り合っていれば、たちまちボコボコにされてしまっていたでしょう。
ですが、逆にそういう奴が身の程知らずにも突っ掛かってくることに相手が興醒めしたのか、あるいはあまりにも無謀な突撃を相手が哀れに思ったのかはわかりませんが、それで案外殴られたり喧嘩になるようなことはありませんでした。
その時の彼らの「プロレスごっこ」は、私から見ると「強者が弱者に向けた一方的で理不尽な暴力」のようにも見えました。ですので、私は彼らの間に割って入って、一方的に技を掛けている男子生徒たちを止めようかと思い、彼らの方を凝視しました。
しかし結局私は、そのいじめにも見えるプロレスごっこを止めることはありませんでした。
何故なら技を掛けられている(＝いじめられているように見える)男子生徒が、そこに居たクラスメイトの誰にも、ヘルプのサインを全く出さなかったからです。
そればかりではなく、その男子生徒は終始「僕は友達とプロレスごっこを楽しんでいるのだ」というアピールをしていました。具体的には、絞め技を掛けられて真っ赤な顔でもがいているのに、ギブと呻くように言っても無視されて技を掛け続けられているのに、それでも終始ヘラヘラと笑っていたのです。
私は技を掛けられてばかりの男子生徒が少しでもプロレスごっこを嫌がっている素振りを見せれば、すぐに止めに入ろうと思っていました。その男子生徒がちらりとでも私たちの方を見れば、それをヘルプのサインと思って動くつもりでした。ですが、技を掛けられ続けていたその男子生徒は、絶対に私たちの方を見ようとしなかったのです。
それはその男子生徒の矜持だったのかもしれません。自分がいじめられているということを、彼自身が認めたくなかったのかもしれません。他人に助けられることの方が、彼の自尊心を傷つけることだったのかもしれません。
だから、私はその男子生徒には関わるまいと決めました。その後、少なくとも学年が変わるまでの間、彼はずっとプロレスごっこでは技を掛けられるばかりだったようでしたし、それ以外の時でも傍目に見ればやはりいじめられているか、ゆるく見てもパシリ扱いされているように見えましたが、私がそれに関与しようとすることは、最後までありませんでした。
このことは、今も私の心の隅にわだかまっています。私から見て、それがいじめに見えたのであれば、当事者がどう言おうと止めるべきだったのだろうか、それともやはり、やられている当事者がそれをいじめではないと態度で示す以上、要らぬお節介をしなかったのは正しかったのか、と。
こういう時、「いじめ(のように見えること)をする者が悪い」と言うことも出来るかもしれませんが、それを言ってもあまり意味がありません。仮に「いじめ（のように見えること）をする者」にいじめの自覚があったとしても、馬鹿正直にそう言う者はいません。いじめられている（ように見える)者からヘルプが発せられない限り、それは表面上はあくまでも「仲の良い男の子たちのふざけあいやじゃれあい」でしかないのです。
いじめ問題において、「いじめられている者が悪い」と言えば、まるでいじめている者を正当化するように聞こえるかもしれませんが、この経験を振り返る時の私の気分はまさに「いじめられている者が悪い」です。
言うまでもないとは思いますが、あらかじめお断りしておきますと、いじめ問題においては「常にいじめられている者だけが悪い」と主張する気は全くありません。基本的には、いじめる者が悪いと思います。
ですがいじめられている者が、周囲に助けを求めることもせず、いじめられているという事実を自ら認めず、これはいじめられているのではなく仲良く遊んでいるのだとアピールするのであれば、それはある意味、合意の下に行なわれるSMプレイと同じです。それでいじめられている者が傷ついたり苦しんだりしても、第三者の立場ではプレイの一環と理解して見て見ぬふりをする以外にないでしょう。
あの時、いじめられている（ように見える）者がヘルプのサインをはっきりと示せば、少なくとも当座のいじめ(のように見える行為)をやめさせることは出来たと思います。しかしいじめられている（ように見える）当の本人が、いじめ（のように見える行為）をいじめと認めず、あくまで「仲の良い友達同士のふざけあいやじゃれあい」だとアピールしたのですから、これはもう周囲には手の出しようがありません。
それなのにいじめられていた（ように見えた）者が、後になってから「あの時いじめで苦しんだ」とか「あの時いじめられてるのを周囲の者は知っていたのに助けなかった」などと言えば、私はきっと「それはいじめられていたお前が悪いのだ」と言ってしまうと思います。
この、今となっては遠い昔のことを思い出すのは、私が日韓問題で「日本が悪い」と思う時です。
日韓問題における諸悪の根源のほとんどは、間違いなく韓国です。それは百も千も承知です。ですがそれでも私は、最終的には日本が悪いと思ってしまうのを止められません。
日本が韓国からの嫌がらせやあてつけや侮辱(に見える行為)にろくな不快感や不満を示さずひたすら泣き寝入る、「韓国とは仲良しだし、仲良しであり続けたい」とアピールする、韓国が謝れと言えば謝る理由もないのに謝ってみせる、韓国がカネを無心すれば返ってくるあてもないのにじゃぶじゃぶ貸す、などという態度を示し続けている限り、周囲の国々も日本を助けようとか、韓国の日本に対する態度を糾弾しようとは思わないでしょう。たとえ悪いのは明らかに韓国で、苦しめられているのは日本だとわかっていてもです。
悪人に苦しめられている時に、周囲に手を差し伸べようとする人がいるのを知りながら自分から助けを求めることもせず、あまつさえ周囲の目から悪人の悪行を覆い隠そうとする者は、どれほどその悪人に苦しめられても、周囲から見ればその悪人に与する者でしかないということに、いい加減日本人は気づいても良い頃なのではないかと思います。
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本日もクリックありがとうございます<(_"_)>
コメント
2012/11/11(日)11:11:11
すごいです！
管理人様には丁寧な文章に緻密な配慮が感じられ
いつも感動とともに拝見しておりましたが
遊び心にも緻密なのですね
今回の「いじめ」と被害者の問題点は私などでも
うすうす考えることはありました。しかしこんなに
ビタッと表現していただくと
内容に反して喜びすら感じてしまいます
本当にいつもありがとうございます
一ずくしっておしゃれw
前段の話題にもうなずきながら読んでましたが、
後段になって「なるほど、そうだよなあ。」と手を
打ち合わせてしまいました。
結局そのつけが今の状態を招いているわけです。
これからは、いやなものはいや！ダメなものはダメ！
貸したものは返してもらう！いいがかりには反論する！
ということを気長に続けていくしかないですね。
しかし、「人の嫌がることをします。」という朝鮮人
ですので、今後も日本人の嫌がることをどんどんして
くるんだろうな。そのエネルギーを～（ry
確かになぜ助けを求めないの?と思いますが、
遊びには「いい遊び」と「悪い遊び」があると思っています。
周りが見ていてこれはおかしいぞと思うのはたとえやられてる本人が遊んでるアピールしても引き離さなければならない。関わってはいけない、関わらせていけない人間関係や相性ってあると思うのです。
いじめ問題の時「先生も笑ってみていた」とかって聞くと「ちゃんと仕事しろよ！」って腹立たしく思います。
日本の場合は日本が悪い！
カツアゲは一回許すと金額が上がる。
お猿さんに餌あげると「もっと」要求されるに決まってる。
毎度韓国相手に仲良しアピールの政治家さんたちですが、日本国民もただ見ているだけでなくこの関係から引き離せるように働きかけて行きたい。
お疲れ様です。
日韓問題に関しては、おっしゃる通りだと思います。
韓国に迎合することで、利を得ようとする日本人が最も問題ですが、それを許してきたマスコミや国民の無関心にも責任がありますよね。
ただ、いじめで周囲に助けを求めない状況を、ＳＭプレイに例えることには同意し兼ねます。
解決策のひとつとして、心ある人物は日韓議連からの脱退、各地にある日中友好協会からの脱会をすべきと思料します。
日本はいじめられっこ。反撃していかないと次は自殺しかない段階。謝れ、賠償しろ、島よこせ。
立ち上がろう、日本人。日本をいじめている中国、韓国、北朝鮮は角田美枝子のようなモンスター。中国、韓国、北朝鮮には近づかない、近づけない。
正義というのは曖昧で、誰かにとっての正義は、誰かにとっての悪となることが多々あります。
だから私は必要だと思うのです。
弱きが強きによって虐げられる、そんな時に彼の「正義」に力を貸すもの、
「正義の味方」が。
あなたは、誰かの味方になれますか？
全く同感であります。日本と韓国に有る数知れない問題の殆どはルールや史実を全く無視する韓国側のいちゃもんにすぎないのにもかかわらず、日本側は韓国側がとんでも無い嘘捏造をまことしやかに言い出す度、キッパリと論理的にそれは違うと証拠をキッチリ出しながら否定しなかった事により積み上げられてきた事に他なりません。考えて見たら、盗んでも無いものを盗んだと訴えられたら、普通ではキッパリと否、と言うでしょう。所が戦後の日本政府は相手を刺激したくないから等の理由で不思議な態度ばかり。慰安婦問題や南京虐殺に関してもそうです。この日本の事なかれ政策はある意味韓国の態度を増長させるばかりなのは火をみるより明らかです、韓国人と同罪なのはこの、ノーと言えない日本人の態度であると認識するべきでしょう。
斗えと！斗えと！
特に米国テキサス州では悪を見て戦わない者は最も軽蔑されますな。
このエントリー内容は「正義の味方」をも否定するサヨクに
対する猛批判で有ると私自身は受け止めました。
戦うべき時は戦わなければならないのですよ。
仲間に助けを求めるのも又「戦い」なのです。
朝鮮との「反日冷戦」に敗北する訳には参りません凸(｀Д´メ)Fuckin
難しい問題だと思います。日本には内外に「敵」がいるからです。
朝鮮では反日教育がされていますが、日本では未だに自虐史というべき物を教えています。
私は明治維新以降の日本の近代史を義務教育でいかに教えるかが重要な事だと思います。
おそらくこの事に関しては、特アが（内政干渉でもあるに係らず）口出ししてくるでしょう。
その時、断固として特アの主張を跳ね除ける、そしてなによりも日本政府を後押しする世論は重要だと思います。
民主党ではほぼ不可能ですが。
日本人の意識を変えるにはやはり正しい歴史教育だと思います。
中国、特に韓国の主張は、根拠のないモノだという事を国民が周知する事が防衛になると考えます。
面倒ですが
少なくとも、相手が間違った行動を起こしているのを見て、間違っていると言わなくては、他人は関心すら持ちません。
事を荒立て無いように嘘つきの虚言を鵜呑みにしていれば、周りの人も「ああ、そうなんだ」と思うでしょう。
間違っている人たちと関わるのは面倒なのですが、嘘をついていれば嘘つきと呼び、盗みをすれば盗っ人と言うのは、自分たちの生活を守るためのみであり、相手をけなす目的はありません。
乱文失礼しました。
ご体験に裏付けられた文章を興味深く拝読いたしました。
ありがとうございます。
同意です。
特に日韓・日中関係はそうですね。
日本政府のへらへらした卑屈で、安易にカネで解決しよとする奴隷根性な外交姿勢が、中韓を付け上がらせてきたのです。基本的に日本民族は優しいく、潔い民族だとは思いますが、ことシナや朝鮮にはあまりにも度が過ぎた甘やかしと卑屈さしかありません。これは対等な関係ではなくシナや朝鮮に隷属した奴隷根性であります。現在の南朝鮮の国際的な侮日外交は日本がツケを負うべきものだと思います。これは現在の売国民主党政府だけでなく、歴代自民党政権からの流れですから、根本的に朝鮮人という異常な生物の本質を政治家が知ることでしょうね。
昨今のイジメ問題においては、いじめる側が自分たちの行為がイジメであると認識していないことも多いとか。だから、教師や親から「イジメは絶対によくない」と言われても、「ウンウンそのとおり」と何の悪気もなくうなずくそうです。
そういや彼の国でも「自分たちは反日ではない」と思ってるんでしたっけねぇ…
日本の治安向上の為、まずは国内に巣食う不逞朝鮮人を追放しましょう。すぐやりましょう。どんどんやりましょう。不逞朝鮮人の被害を蒙ってる日本人はもっと声をあげるべきですね。警察や在特会に不逞朝鮮人の悪行を告発してやりましょう。
今は幸いネットが発達してるので、ブログなど作って自分で訴えていくのもアリだと思います。ガセは混ぜないで真実のみを訴えれば、より良い日本の未来を作る為の誰かの力になるかもしれません。百害しかない寄生虫などさっさと駆逐すべきです。
＞shige123さん
管理人さんは「ある意味」と言ってるので、いじめとＳＭプレイを同列に扱ってるわけではないと思いますよ。多岐に渡る要素の中の一つに似た部分があるってだけの話で、わかりやすくする為の単なる比喩だという事をご理解頂ければと思います。
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