ブックレビュー「日本のイメージ」
そんなこんなで今回は鄭大均氏による「日本のイメージ
さて鄭大均氏による「日本のイメージ」という本ですが、奥付によると1998年の出版とあります。「日本」の部分にはご丁寧に「イルボン」とルビが振ってあります。即ちこれは「韓国(人)から見た日本のイメージ」という意味です。
鄭大均氏と言えば韓国ウォッチャーなら一度はその名前を目にしたことがあるはずです。日韓ハーフの元在日韓国人であり、現在は韓国系日本人となっている人です。その主張は、韓国に詳しい日韓の著名人の中では、比較的穏やかで中立的と私は理解しています。
余談になりますが、鄭大均氏の実妹がかつて東京都で在日韓国人が公務員の管理職になれないのはサベツだと主張し高裁で敗訴、最高裁に上告するものの棄却され、「憲法判断しない情けない判決。哀れな国。外国人は日本で働くな」とほざいて、嫌韓勢から「むしろお前が日本から出てけ」と謗られた鄭香均です。同じ親から生まれた兄弟でも、同じような考えになるものではない、という好例と言えるでしょう。
それはさておき、「日本のイメージ」は、前書きによると同じ著者が1995年に著した「韓国のイメージ」の姉妹編だといいます。こちらの「韓国」は、そのまま日本語で「カンコク」と読んで差し支えないようです。即ち「韓国のイメージ」とは、「日本から見た韓国のイメージ」という意味になります。
残念ながら私は「韓国のイメージ」の方は読んでいません。そもそも「日本のイメージ」も古本屋で見つけて「韓国関連の書籍」というだけの理由で買ったもので、その時点でおそらく既に「韓国のイメージ」の方を棚に置いている書店は、それほど無かったのではないかと思いますし、仮に置いていたとしても、正直「日本から見た韓国のイメージ」については、全くと言って良いほど興味がありませんので、探そうとも思いませんでした。
なので、「韓国のイメージ」の内容については、「日本のイメージ」の前書きから推測したものであることを予めお断りしておきます。
「日本のイメージ」の前書きによると、「韓国のイメージ」は「戦後の日本人が韓国(や北朝鮮)について記した多様な言説を資料に、その眺めや拡がりや奥行きを検討する作業であった」といいます。「その結果は、私たちが漠然と考えているものより、多様で陰翳に富むものではなかったか」と続き、韓国人が見る日本のイメージもそれと同様か、それ以上であると著者は主張します。更に「韓国のイメージ」では、「日本人にとっての韓国がともにある存在であると記した」といいます。
その結果、「韓国人にとっての日本は、おそらくはそれ以上のプレゼンスで、ともにある存在といってよい」との結論に至った模様です。
私は、一日本人として、また韓国関連の書籍類を一般的な日本人よりは多く読んでいるであろう者として、この「日本人にとっての韓国がともにある存在」という著者の主張には違和感があります。
実際に「韓国のイメージ」を読めばまた認識も変わるかもしれませんが、とりあえず「日本のイメージ」の前書きにあるように、「日本人にとっての韓国がともにある存在」と言える対象であったことなど、ほとんど思いつかないからです。
確かに、日本にとって朝鮮半島は最も近い外国のひとつであり、古来より朝鮮半島を通じて日本に入ってきたものは無数にあります。そもそも日本人からして、その全てではないにせよ、少なからぬ割合で朝鮮半島を通じて渡り来た人々の末裔であろうことは、誰も否定できないでしょう。
しかしそれは同時に、他の外国についても同様であったはずです。もし日本にとっての韓国が、古来からの交流を理由として「ともにある存在」とまで言えるほどの対象であるならば、日本にとっての中国はどれほどの存在になるでしょうか。更に戦後のアメリカの影響力と存在感は、確実に中韓のそれを凌駕するはずです。
ですが、日本にとっての中国やアメリカの重要性を言うことはあっても、「日本にとっての中国はともにある存在」とか「日本にとってのアメリカはともにある存在」などとは誰も言いません。何故なら、日本にとって海外から人や物や文化が流れ込んでくるのは当然のことだからです。海外から渡り来る様々なものを消化吸収して日本の文化として昇華させるのが日本文化の真髄であり、それは特定の国だけが対象ではないからです。
たまたま距離的に近いから、またおそらくは今の私たちが想像する以上に、古代の朝鮮半島における日本の影響力が大きかったために、日本と朝鮮半島には関連性が目立つだけであって、それを以て「ともにある存在」とする主張は、「日本にとって韓国は特別な存在」という主張に容易につながる危険性を感じます。また殊更に日本人が韓国について記した資料ばかりに注目すれば、「日本にとっての韓国はともにある存在」という結論に誘導されるのは当たり前でしょう。
読んでもいない「韓国のイメージ」について述べるのはこの程度にしておいて、実際に読んだ「日本のイメージ」ですが、これも韓国人が読めば読んでもいない「韓国のイメージ」に私が抱いたような意識を持つのでしょうか。即ち、「韓国にとっての日本がともにある存在なんて言われるのは釈然としない」とか、「韓国にとっての日本は特別な存在とされることには違和感がある」と韓国人は考えるでしょうか。
そうでなければ公正を欠くような気がしなくもありません。それに日韓チャットでもしばしば韓国人は「日本に気を使わない(この「気を使わない」は、「配慮しない」という意味ではなく「意識しない」という意味)」と言っていました。韓国人にとっても、日本は特別な国ではなく、数ある外国のひとつに過ぎないということです。
それが本当であればどんなに良いでしょうか。日本は単に数ある外国のひとつであって、いつでも他の国と代替が利くと韓国人たちが本心から思っていてくれれば、それは日本にとって僥倖と言っても良いぐらいです。
しかし極めて残念なことに、事実は異なると言わざるを得ません。このところの弊ブログで執拗に韓国言論が日本との関係改善を求めていることを述べてきたように、韓国人は意識的か無意識的かは一定しませんが、「日本はウリナラとともにあるべき存在」と思っているのが現実なのです。
「日本のイメージ」では、「前著(=「韓国のイメージ」)同様、その否定的眺めにも注目するが、それと同等の熱意で、韓国人の日本や日本人に対する肯定的眺めにも注目するものである」と宣言します。
その宣言に違わず、同書は膨大な資料に基づき、日本に対する韓国人の否定的見解とともに肯定的見解についても、詳細にピックアップしています。それら資料を出来る限り冷静且つ客観的に読み取ることで、韓国人が持つ「日本のイメージ」に迫ろうとした著者の努力には頭が下がります。
著者がその立場ゆえに、日韓の離間を積極的に促すわけにはいかず、どうしても日韓の融和に主張が傾きがちなきらいがあることを知った上で読めば、「日本のイメージ」は資料的価値の極めて高い本と言えるでしょう。
また、韓国人が持つ日本のイメージを正確に知ることは極めて困難です。それこそイメージとして漠然とつかむだけでも、かなりの資料と時間を要するでしょう。その作業の短縮に、この本は極めて有用であることも強調しておきたいと思います。
コメント
以前読んだ鄭大均氏と呉善花氏の対談で、鄭氏は日韓友好を諦めてはいないようですが、呉善花氏は日韓友好は有り得ないとの立場です。
呉氏は肝が据わってる方だなと感心しました。
あと、「テコンダー朴」今日読みました。
格闘漫画としても迫力があって面白かったですよ。
「韓国のイメージ」持ってます
Amazonを見たら2010年に増補版が出てるんですね。私のはどっちだろう・・・見つからない
私も「日韓友好」がありえると考えるか、ありえないと考えるかによって主張が変わって
くるんだと思います。民団のHPには次のようなことが書かれています。
<寄稿> 歴史から未来を紡ごう・・・東京学芸大学韓国学研究所 李修京
ttp://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=0&newsid=19034
>「運命」というのは努力で変えられるというが、「宿命」は避けられない運命だと
>言われている。古より韓半島と日本は実に様々な文化交流で紡いできた
>「宿命」的な隣国であり、
また、前の記事へのコメントで「慰安婦像を建てたりするのは呪術的なものではないか」と
書きましたが、但馬オサム氏の「韓国呪術と反日」という本に書いてあるようです。
私は但馬氏が解説している動画を見て納得しました。
チャンネル桜 【但馬オサム】5千万人総シャーマン・韓国の実態
https://www.youtube.com/watch?v=39VtLxZanAs
チャンネルAJER 「但馬オサム氏の「韓国呪術と反日」 AJER」
https://www.youtube.com/playlist?list=PLp9XqTkIrKNItW9-Vdmo2ZEpwqrZfmOfh
金美齢氏との対談がつべに残っていますが、終始一貫して金氏が"議論"を志向し、鄭氏が"主張"を志向するのが非常に象徴的でした
「在日韓国人の終焉」等の著作を読み、幾らかの共感を持っていたのですが、「これ程の人をしても議論ができないのか!」とある種の絶望を覚えたのを思い出します
韓国人から見た日本のイメージかぁ
男の子が好きな女の子に
かまって欲しくてわざと虐めたり
そんな気持ちに似てるのでしょうかね
違うか(笑)(´・ω・`)
鄭大均氏も人の子であり時代の子なので、これは私もこのブログ主も時代の制約からは自由ではありません。
20世紀末の段階での氏の認識という事でしょう。
屁理屈無用
「韓国は、自力で発展しそれを維持する力がない。」
もう、これはハッキリしてしまいました。当然、韓国が後やることも
ハッキリしています。
どんな屁理屈をつけても日本に金と技術をせびり続け、あわよくば日本
を乗っ取る・・これしかありません。
情緒的な議論を極力排し、在日の犯罪組織との関係、福祉への依存、
半島に吸いとられた莫大な国富と言った事について国民に周知し
、それを国際社会に発信してゆく。
これ以外のことは無益でなく有害でしょう。
馬鹿馬鹿しい、「強制徴用」は入らないが、「意に反して、against their will」を入れたら意味がないだろう。
日本の世界遺産がアウシュビッツ収容所とプロバガンダされ、1000年、謝罪と賠償を要求されるだろう。
ユネスコに一番、金をだしているのに。
外務省と文科省には、反日帰化日本人が巣くってるんだろう。
世界遺産登録の地元は、これでも喜ぶのか。
ソ連には、シベリア収容の謝罪と賠償をしてもらってない。
>ななしさん
「forced to work」と言ってしまっているらしいですよ。
大臣が日本語で「強制徴用を意味しない」と言っていますが、馬鹿馬鹿しい。。。
完全に第二の河野談話だよ。
悔しくて眠れなかった日曜の夜
おはようございます。
少し時間をおいて、事の顛末がはっきりしたところで、今回の世界遺産の問題に関して、日本は今後どうするべきかという主様の考察を頂けないでしょうか。
個人意見としては、兎に角残念です。安倍政権の失策だと思います。
ただ、政権の目下最大課題である安保法制可決が困難さを増すなか、韓国をあくまでも蹴飛ばして撥ね付けるか、今回のような妥協をするのか、ネットのみならず実社会で安保可決に必要な国民の支持損失が大きいのはどちらか…
その取捨選択の結果かも知れないとも思います。